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祭り文化を支える、三国提灯

三国祭りについて

北前船文化で栄えた福井県坂井市三国町。この町が一年で最も活気づくのが、5月19日から21日まで三日間に渡り行われる三国神社の例大祭、三国祭です。江戸時代から続く祭りで勇壮な武者人形を乗せた山車が町を練り歩き、北陸三大祭の一つとして知られています。三国提灯は三国祭とともに受け継がれてきました。祭り文化が息づく湊町の象徴として愛されています。

提灯がつなぐ地域の伝統

勇壮な武者人形を乗せた山車が町を練り歩き、祭囃子や威勢いい掛け声で活気づく三国祭。江戸時代から続く祭りで、十数万人もの人が訪れます。毎年、6〜7基の山車が三国神社に奉納され巡行しますが、この山車は旧町内会ごとに当番制で出されます。これは北前船の豪商が栄え活気にあふれていた往時の名残で、43に分かれた旧市街地の各町内に数年に一度「山番」が回ってきます。

三國湊では旧町内会ごとに町紋が決まっており、43種類、町内会の数だけ提灯の種類があります。山車には町紋が描かれた提灯が掲げられ、日が暮れると山車を先導する高張提灯にも同じ紋が入っています。また、三国祭の期間中は山番ではない町内の軒先にも提灯が吊るされ、湊町の夜を灯します。提灯を吊るすやぐらがある家も少なくありません。趣のある町屋の軒先に吊るされた提灯の紋は個性豊かで、各町内のアイデンティティとなっています。

三国祭は昼の賑わいが印象的ですが、人ごみの喧騒を抜けて宵の湊町を歩くのも楽しみの一つ。風情ある町並みを提灯が照らし、情緒あるひとときを過ごせます。三国提灯は祭りを象徴するもう一つの顔です。

三國湊の各家庭には、先祖代々受け継いだ提灯があります。三国提灯いとやは三國湊の提灯を手がけ続けており、何十年と使った提灯が傷むと町の人たちは修理を頼みにいとやに訪れます。そのたびに一つひとつ骨組みを直し、和紙を張り替え、昔ながらの技法で修繕して提灯を蘇らせます。提灯を通じて三國湊の祭り文化を受け継ぎ、次世代へとつなぎたい。その心意気で、私たちは三国祭をこれからも支えて続けます。